半沢直樹のような上司が僕たちの世代にもいて欲しい『ロスジェネの逆襲』感想【27冊目】

半沢直樹が面白い。

前回もレビューを書いたのですが、面白すぎて『オレたち花のバブル組』(2作目)をあっという間に読み終え、『ロスジェネの逆襲』(3作目)も読了しました。

 

3作品通して、まさに痛快銀行エンターテイメント。銀行員半沢直樹はサラリーマンが目指すべき真の姿だと思います。

 

内容紹介

半沢直樹、子会社へ出向! ロスジェネ世代の部下とともに、理不尽な敵どもに倍返しを食らわせろ。 大ベストセラー第三弾、ついに文庫に! 東京中央銀行の花形部署から子会社「東京セントラル証券」に飛ばされた半沢直樹。新天地で2か月が経つも、なかなか結果の出せない半沢に、大きな案件が舞い込む。IT企業の雄「電脳雑伎集団」が、ライバルの「東京スパイラル」のM&Aを画策しているのだ。これにアドバイザーとして食い込めれば莫大な手数料が見込める。 半沢らが本格的に乗り出した矢先、アドバイザー契約が横合いからかっさらわれた。「敵」は東京中央銀行証券営業部。親会社が子会社の大口案件を横取りしたのだ。責任を問われた半沢の地位は危なく揺らぐことになった。 ――やられたら、倍返しだ。 世をすねたロスジェネ世代の部下・森山とともに半沢は立ち上がる。人事を盾にする卑劣な親会社に、仕事を通じて逆襲するのだ。 今度の舞台はIT業界の熾烈な買収合戦――痛快度100%。すべてのビジネスマンを元気にする最強のエンタテインメント!

 

会社を腐らせる原因とは

半沢直樹シリーズでは一貫して、クソみたいな上司や手柄を横取りしようとする同僚、悪事を働く経営者がこぞって登場しますが、半沢直樹はそれら全てと真っ向勝負を挑んできました。

 

今作では、前作『オレたち花のバブル組』で大和田常務との勝負に勝ったものの、組織の圧力により子会社への出向を余儀なくされました。

 

半沢直樹を読んだことのある方なら分かると思うのですが、「出向」にはマイナスイメージしかないはずです。

「半沢もついに落ちぶれたな」という周りの目を気にもせず、今作も痛快に暴れまわってくれているので、読者としては帰ってきてくれたなという気持ちで読むことができました。

 

「オレはずっと戦ってきた」

半沢はこたえた。「世の中と戦うというと闇雲な話にきこえるが、組織と戦うということは要するに目に見える人間と戦うということなんだよ。それならオレにもできる。間違っていると思うことはとことん間違っているといってきたし、何度も議論で相手を打ち負かしてきた。どんな世代でも、会社という組織にあぐらを掻いている奴は敵だ。内向きの発想で人事にうつつを抜かし、往々にして本来の目的を見失う。そういう奴らが会社を腐らせる」

 

たとえ出向先の子会社であろうと、半沢がやるべきことはただ一つ。

正しいことを正しいという。ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価されるよう戦うこと。

会社を腐らせるやつには容赦はしない、倍返しだ!

 

本当の勝ち組とは

「どんな世代にも勝ち組はいるし、いまの自分の境遇を世の中のせいにしたところで、結局虚しいだけなんだよ。ただし、オレがいう勝ち組は、大企業のサラリーマンのことじゃない。自分の仕事にプライドを持っている奴のことだけどさ」

森山は黙したまま瀬名の言葉を頭の中で反芻した。

「どんな小さな会社でも、あるいは自営業みたいな仕事であっても、自分の仕事にプライドを持ってるかどうかが、一番重要なことだと思うんだ。結局のところ、好きな仕事に誇りを持ってやっていられれば、オレは幸せだと思う」

 

僕たちはついお金持ちになることや、肩書きが上になることを「成功者」だとか「勝ち組」と捉えてしまいがちです。しかし本当にそうなのでしょうか。

お金を持っていても、日々の生活に追われ苦しい思いをしていては、本当の成功者とはいえません。自分が今やっている仕事にプライドを持てずに、ただ何となく生活しているようでは、たとえ1億円持ってようが幸せとはいえません。

 

たとえ自営業であっても、一会社のサラリーマンであっても、プライドを捨てずに働くこと。それこそが本当の勝ち組なのではないでしょうか。

 

就職氷河期を乗り越えて

今作で一緒に組織と戦うことになったのは、森山というロスジェネ世代の部下でした。

ちなみにロスジェネとはロストジェネレーションの略で、バブルがはじけた後の世代の人たちのことをさします。

バブルがはじけた後なので、求人環境が大きく変わった時代でもありました。受験戦争を終え、ようやく大学を卒業すると共にバブルが崩壊したため、前世代の人たちへの被害者意識が高い世代とも言えます。

 

ロスジェネ世代森山と、バブル世代の半沢がタッグを組んで、組織と戦う姿がとても新鮮で、熱中して読み進めることができました。

 

「結果的に就職氷河期を招いた馬鹿げたバブルは、自分たちのためだけに仕事をした連中が作り上げたものなんだよ。顧客不在のマネーゲームが、世の中を腐らせた。お前らがまずやるべきことは、ひたすら原則に立ち返り、それを忘れないようにすることだと思う。とはいえ、これはあくまでバブル世代であるオレの仮説であって、きっとお前はもっと的確な答えを見つけるはずだ。いつの日か、それをオレに話してくれるのを楽しみにしている」

森山が慌てて半沢の表情を読もうとしたのは、その言い方が、どこか別れを予感させるものだったからだ。

「戦え、森山」

半沢はいった。「そしてオレも戦う。誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか」

 

半沢直樹はまさに上司になってもらいたい人ナンバーワンだと思います。こんなかっこいい上司はなかなか巡り会うことはできませんが、会えなければ自分がそうでありたいと、毎回読み終えるたびにそう思うのでした。

 

4作品目もこれから読んでいきまーす!

それではまた!