クソ上司め、覚えていやがれ!ドラマ半沢直樹の原作『オレたちバブル入行組』感想【23冊目】

池井戸潤先生の『下町ロケット』、あの作品はとても面白かった。

どん底に追いやられた部品工場の社長が起死回生を図る作品で、読み終わった後はとてもスッキリとした気分になりました。

先生の作品はほとんどドラマ化されていて、話題にもなってはいるのですが、まだ読み終えた作品はほんのわずか。

今回読んだのがあの有名なドラマ「半沢直樹」の原作『オレたちバブル入行組』です。

内容紹介

話題沸騰のドラマ『半沢直樹』(堺雅人主演)原作! バブル期に大手銀行に入行し、今は大阪西支店融資課長の半沢直樹。支店長の命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産した。すべての責任を半沢に押しつけようと暗躍する支店長。四面楚歌の半沢に残された手は債権回収しかない――。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。しかも入行以来いいことなしのバブル世代。しかし嘆いてばかりじゃ始まらない。顔を上げろ、プライドを捨てるな、そのうち負け分を取り戻してやる! 働く者すべての勇気を奮い起こさせる痛快エンターテインメント。

 

専門知識皆無でもさくさく読める!

物語は銀行員のキャリアをかけて、あの手この手でのし上がろとする上司の魔の手を、主人公の半沢直樹が決死の覚悟で立ち向かうというもの。銀行が舞台となるので、専門用語がバンバン出てきますし、銀行の内部のトリビアなんかも出て来ます。

ぶっちゃけ言うと、銀行の専門用語は全然わかりませんでした

 

メーン・バンク、粉飾、不渡り、資産、融資、国税、証券、債権回収、貸し倒れetc..

 

普段聞き慣れない単語がわんさか出て来ますが、物語を読み進めるにあたっては、まったく問題ありませんでした。

銀行は金を貸すのが仕事だ、ぐらいの知識であっても、さくさく読めます。(実際に僕もそうだったのですが)お固い話はちょっと苦手…という人にも読みやすい内容になっています。

 

爽快な復讐劇

半沢直樹に圧しかかるのは、上司からの理不尽すぎる命令です。

上司の浅野がゴリ押しした5億円の融資が、取引先が倒産してしまい(後に計画倒産だったことが判明)その責任をすべて半沢に押し付けようとします。自身のキャリアの保身のためと裏で働く悪事を隠すためにです。

読んでいてもはらわたが煮えくりかえりそうになる上司のパワハラに、半沢は真っ向から対立します。正直、いまの若者には絶対にない「自分を貫く」という強い意志を感じました。

それは銀行員としてのプライドなのか、地位を守るためなのかは分かりませんが、少なくとも不当には絶対に屈しないという強い意志です。

 

以下、半沢直樹反撃のシーン。一部抜粋しました。

 

「ここでしおれて見せろとでも?」

半沢は失笑した。「それで融資金が戻ってくるのならそうします。いまはそんなことをしている場合ではないし、粉飾を見破れなかったのは事実だが、それはあなた方融資部だって同じじゃないですか、定岡さん。資料は同じものを提出しているんです。融資部は承認するまで三日かかっていますが、やはり粉飾には気づかなかった。支店だけを責めるのは違うんじゃないですか」

 

「ゴ、ゴリ押しだったそうじゃないか」

定岡がかろうじて反論した。おぼっちゃん育ちのエリートは、面と向かって喧嘩をふっかけられると弱い。

「ゴリ押し?ゴリ押しされれば融資部は稟議を承認するんですか。大丈夫だと思ったから承認したんでしょう」

半沢は、畳みかける。「支店には営業目標があるんだ。それをクリアしなければならないという事情もある。できれば融資したいと思うのは当然だし、出した稟議を押さない支店がどこにある」

 

「条件を付けたら免責されるとでも?それはないだろ。承認案件に責任もとれない融資部なら、やめたほうがいい。本部審査の意味がない。そう思いませんか、小木曽次長」

小木曽はさらに怒りの表情を浮かべただけでこたえなかった。定岡はおしだまり、ボードを持ったまま記録係の手は動かない。

「記録!」

半沢が鋭く言い放つと、記録係はびくりと体を震わせた。「都合の良いことばかり記録してんじゃねえぞ!ーー定岡調査役」

真っ赤になった定岡の顔の中で燃えるような目が半沢を見ていた。

 

このシーンだけはドラマ版で見たことがあります。堺雅人さんの熱の入った演技と、半沢直樹の強烈なセリフで見ているこっちも熱くなりました。

 

まとめ

著者はもともと銀行員だったということで、話はかなりリアルでした。

 

銀行というところは、人事が全てだ。

ある場所でどれだけ評価されたか、その評価を測る物差しは人事である。

だが、その人事は常に公平とは限らない。出世をする者が必ずしも仕事のできる人間ではないことは周知の事実であり、それは東京中央銀行でも例外ではない。

正直なところ、半沢は、銀行という組織にほとほと嫌気がさしていた。古色蒼然とした官僚体質。見かけをとりつくろうばかりで、根本的な改革はまったくといっていいほど進まぬ事なかれ主義。蔓延とする保守的な体質に、箸の上げ下げにまでこだわる幼稚園さながらの管理体制。なんら特色ある経営方針を打ち出せぬ無能な役員たち。貸し渋りだなんだといわれつつも、世の中に納得できる説明ひとつしようとしない傲慢な体質ーー。

もうどうしようもないな、と思う。

だから、オレが変えてやるーーそう半沢は思った。

営業第二部の次長職は、そのための発射台として申し分ない。手段はどうあれ、出世しなければこれほどつまらない組織もない。それが銀行だ。

池井戸潤先生が見て来た銀行という世界をかなり細かく描写してくれた作品だと思います。

半沢は銀行を変えるためにガッツを見せますが、僕だったら絶対に銀行員なんぞにはなりたくない! そう強く思える作品でもありました(笑)

しかし不思議なことに『下町ロケット』も『オレたちバブル入行組』も、読み終わったあとに「よし仕事頑張ろう。上司に負けないようにしよう」という気持ちになるのです。

プライドを持って、自分を貫いた仕事がどれだけ出来るのか。現代人に響くようなワードがたくさん盛り込まれています。繰り返しになりますが、専門知識がなくてもまったく問題ありません。

心を熱くしたいと思っている人はぜひ手にとってみてください。

それではまた!