この間のゴールデンウィークで、ブックオフで購入した小説がいくつかあります。
今回手に取ったのが、百田尚樹先生の小説『モンスター』。映画化もされて話題になった作品です。
※浦沢直樹の『MONSTER 』とは違います
※藤原竜也・山田孝之主演『MONSTERZ モンスターズ』とは違います
※エナジードリンクの『MONSTER』とは違います
検索をしてもなかなかヒットしないので、「モンスター 百田」で検索したという裏話!
さっそく感想です。
内容紹介
田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた 未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった——。
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不細工な女性が整形手術を繰り返して、バケモノ扱いをして来た人たちに復讐をし、そして最後には初恋の人に再会をする、というのが物語の大まかな流れです。
「ブス」という単語がこれでもかというぐらいに、たくさん盛り込まれており、主人公の和子(整形後は美帆と名乗る)が、その怪物のような顔面のせいで、人生の大半をひどい仕打ちを受けてきたことが書かれています。
男女の価値観であったり、容姿が人の価値を決めるのにいかに重要なのか。非常に細かい心理描写を交えて描かれます。
「ブスはどんなに頑張ってもブスでしかない」
「内面がよくても外見がブスであればまったくの無意味である」
「ブスは生きる価値がない」
読み進めるたびに心がズキズキするような感覚に襲われます。
終始物語は暗く沈んだ雰囲気のまま続きます。
主人公は繰り返し行う整形手術で、誰もが目を逸らすほどの不細工から、誰もが思わず見とれてしまうような絶世の美女へと変貌を遂げます。同時に今まで蔑んできた人たちが言い寄ってくるようになり、男性からも好意を抱かれるようになります。
風俗などで稼いだお金を湯水のように使い、美容整形をしていく様にどこか爽快さすら感じました。
人は内面か外見か
外見を整えることはとても重要です。
他人が人を判断する材料で、まず最初に確認するところは外見です。
『人は見た目が100パーセント』というタイトルのドラマがあるように、外見のほとんどでその人がどんな人物なのかが決められて(あるいは決めつけられて)しまいます。
整形とは違いますが、下の動画を紹介させてください。
髪も髭も伸びきって、くたびれた服を着ている、いかにも見すぼらしいホームレスの男性。その男性がヘアメイクもし、髭も服装も整えた動画です。
最後のシーンでは、あまりにも劇的に見た目が変わってしまい、スタイリストとホームレスの男性が抱き合って喜びます。
人は見た目を変えれば、人生を変えることができる。そんなことを表現した動画のようにも思えます。
外見を変えれば、それに応じた素晴らしい人生が待っている。
動画ではそのようなことを訴えたかったのでしょう。
ホームレス男性にはその後素晴らしい人生が待っているはずだと…。
しかしこの動画には続きがあります。
素晴らしい変貌を遂げた彼は、その後事件を起こし刑務所へ収監されることになりました。
・ジム・ウルフは、今月初めに彼の髪と髭をカットスタイリストを示す、市のスリッカーに彼を変換する移動ビデオで紹介
・インターネットヒットとなったビデオは、彼が彼の人生のコントロールを取る」していたし、彼のアルコール依存症の治療を求めていることになると述べました
・しかし、日曜日に、彼は不法侵入や妨害を引き起こすために逮捕され、現在刑務所で20日に刑を宣告されました
・彼は再び飲み始めたことを認めました
(引用後翻訳/引用元:http://www.dailymail.co.uk/news/article-2511152/Homeless-veteran-Jim-Wolf-arrested-viral-makeover-video.html)
プロのスタイリストたちの技術やスーツなどの服装によって。彼の見た目を変えることはできました。
しかし結局、彼の内面までは変えることができなかったのです。
まとめ
小説『モンスター』の主人公も外見を変えることに終始お金と労力を注ぎ続けます。
身体中の美しくないパーツを整形し、話し方も変え、名前も変えて最終的には肉親が自分の子だと気づかないくらいに別人になります。
それでも彼女の心の中に残っていたのは、整形前のもう一人の自分でした。
醜いと周囲の人たちに言われ続けた結果、歪んだ精神が生まれ復讐の念に駆られました。
また初恋の人を忘れられず、なんとか手に入れようとする執念も生まれました。
外見が変わっても内面は変えることができないのでしょうか。
この物語をハッピーエンドと捉えるかバッドエンドと捉えるかは読んだ人によって異なると思います。
外見で振り回される人たちを見ていると、なんだか哀れな気持ちになりました。
それではまた!