ただのエロオヤジじゃねーか!『危険なビーナス』感想【39冊目】

妻が東野圭吾が好きで、家に何冊か本があります。

今回一人で遠出することになったので、家にあったハードカバーを一冊持って出かけました。

そのタイトルは『危険なビーナス』

ちなみにビーナスとは、ローマ神話の愛と美の女神のこと。この女神が一人の男を狂わせていくわけですが…。

 

 

内容紹介

弟が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である弟の家族に近づく。兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てば経つほど、彼女に惹かれていく。

 

結局、男ってこうじゃん?ていう物語

訳あり家族だった主人公の弟が失踪し、海外から弟の妻と名乗る女性が現れる。失踪した弟を見つける手がかりを探すべく、二人は資産家である兄弟の家族に近づいていく。

これが簡単なストーリーです。

主人公の伯朗(はくろう)は獣医であり、直接的に描かれませんが、けっこうなエロオヤジです。

このエロオヤジの要素が作中のいたるところに織り込まれています。

 

例えば近づいてきた楓の「胸が大きい」ことを何度も強調して描かれたり、職場の女の子が美人で好意を抱いてことなどが書かれています。

僕はけっこう楽しんで読めました。シリアスな展開でも「あぁ男ってやっぱりこうだよな」と、面白がって読むことができましたが、Amazonレビューではやや悲観的な感想が多いように見えましたが、僕はそういうの好きです

 

前回読んだ『疾風ロンド』がコメディタッチだったので、東野先生はこういう作風が好きなんじゃないかなとも思いました(といってもまだ数作品しか読んだことがないので、他の作風もあるのでしょうが)

 

ちなみに帯文には、夫の妻を好きになってしまう伯朗の心情が書かれています。

「ごめん、好きにならずにはいられない」

失踪した弟の夢に、会った瞬間、俺は雷に撃たれた

解けない謎が出逢うはずのなかった二人を近づける

 

だから、気をつけたほうがいいですよ、と注意したんです。

弟が失踪した。

彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。

楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近づく。

兄である伯朗は楓に頼まれ協力するが、時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。

 

今流行りの不倫模様を描きたかったのでしょうか?

この「危険なビーナス」は作中に出てくる楓がそれに当たります。しかし一番「危険」だったのは、紛れもない伯朗自身ではなかったのかと僕は思います。40代で結婚には全くの無関心といいつつも、女性への観察眼がとても鋭い。

その鋭さでナイスバディな楓を見まくるわけですが、しまいには同僚の女子に「気をつけたほうがいいですよ」と勘付かれてしまいます。ただのエロオヤジじゃねぇか…。

 

獣医という職業

東野作品では作品ごとにさまざま仕事を知ることができます。

『白銀ジャック 』『疾風ロンド 』ではスキー場のパトロール隊員、『ガリレオシリーズ』では大学教授、そして『危険なビーナス』では獣医の仕事が描かれます。

 

「大学の勉強も大事だが、もっと必要なのは経験だ。数をこなすことだ。獣医は人間の医者と違って、いろいろな動物を診なきゃならん。直接治療に当たらなくても、横で眺めているだけでも知識の蓄積に繋がる」

それに、と池田は続けた。

「獣医の相手は動物だけではない。その飼い主とも付き合っていく必要がある。ある意味、こっちのほうが重要で厄介だ。世の中には、いろいろな飼い主がいる。貧乏人がいれば、金持ちもいる。ペットに愛情を注いでいる飼い主がいれば、仕方なく飼っているだけという者もいる。そんな千差万別の飼い主とどう付き合って行いくかなど、大学では教えてくれないし、短期間の実習じゃ身につかん」

 

まあ随所に「エロオヤジじゃねーか!」と突っ込みたくなる場所はありますが、真面目なシーンだってあります。

獣医がいかに知識が必要で、また対人関係に気を使いながら接しなければいけない職業だということも分かります。

 

事件を解決するパートと獣医として働くパート、加えて女性に翻弄される主人公が描かれるパートの三部構成になっています。ハードカバーでページ数は379Pとかなり読み応えがあるのですが、構成が面白いので飽きずに最後まで読むことができました。

 

 

 

 

 

<ここからほんの少しだけネタバレです>

 

 

 

 

 

ここからちょっとだけネタバレになるのですが、最後の最後の、本当に最後のシーン。

僕の素直な感想は「やっぱりただのエロオヤジじゃねーか!」でした。

物語後半にはシリアスな展開やサヴァン症候群などの専門知識が複雑に絡んでくるのですが、最後のセリフには一気に気が緩みました。繰り返し言いますが、僕はそういうの好きです。

 

 

 

 

<ネタバレおしまい>

 

 

 

 

 

表紙が仰々しい感じですが、本の中身はポップでさくさく読める印象でした。

新しい東野圭吾ワールドを味わいたい方はぜひ手に取って見てください。

 

それではまた!

 

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