真実に辿り着いたときあなたは絶対に後悔する!ドラマ化決定の小説『リバース』8冊目

「告白」「少女」など、出される作品が次々と映画化される湊かなえ先生の小説を、僕はまだ一度も読んだことがありませんでした。

村上春樹にせよ恩田陸にせよ、こんなに素晴らしい著者の作品を、なぜ今の年齢まで読んでこなかったのかと、後悔することが最近増えました。実力のある著者の作品を読んだ後は、必ずといっていいほど「読んでよかった」と満足の気持ちに浸るのです。

今回読んだ『リバース』という作品で、初めての湊かなえ先生の小説を読みましたが、読んで大満足。最後の最後に起こる大どんでん返しが、まさに鈍器で頭を打ち付けるほど衝撃的でした。

内容紹介

深瀬和久は、事務機会社に勤めるしがないサラリーマン。今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男だ。趣味と呼べるようなことはそう多くはなく、敢えていうのであればコーヒーを飲むこと。そんな深瀬が、今、唯一落ち着ける場所がある。それは〈クローバー・コーヒー〉というコーヒー豆専門店だ。豆を売っている横で、実際にコーヒーを飲むことも出来る。深瀬は毎日のようにここに来ている。ある日、深瀬がいつも座る席に、見知らぬ女性が座っていた。彼女は、近所のパン屋で働く越智美穂子という女性だった。その後もしばしばここで会い、やがて二人は付き合うことになる。そろそろ関係を深めようと思っていた矢先、二人の関係に大きな亀裂が入ってしまう。美穂子に『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が入った手紙が送りつけられたのだ。だれが、なんのために――。
深瀬はついに、自分の心に閉じ込めていた、ある出来事を美穂子に話し始める。全てを聞いた美穂子は、深瀬のもとを去ってしまう。そして同様の告発文が、ある出来事を共有していた大学時代のゼミ仲間にも送りつけられていたことが発覚する。”あの件”を誰かが蒸し返そうとしているのか。真相を探るべく、深瀬は動き出す。

 

まずは簡単なあらすじを読んでもらいたい。深瀬というごく平凡なサラリーマンが主人公なのだけれど、あらすじを読めば読むほど深瀬が怪しく思えてくる不思議。

ある日『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が送られてきます。ミステリー小説初心者の僕がまず予想したのは、深瀬が過去に殺人を犯した凶悪犯ではないのかということ。そしてこの物語はその凶悪犯が過去を悔い改め、更生の道を辿る物語ではないのだろうかと。

そんな予想を立てては、読んだことのない初のミステリーというジャンルを読み進めていきました。

 

しかし一向に深瀬が怪しいとされる表現が出てこない。凶悪犯としてはあまりにも大人しすぎて、とても彼が人を殺すタイプの人間ではないように見えるのです。

 

物語の序盤で、ゼミ仲間の広沢が不慮の事故で亡くなったことがわかります。

同時にこの事故は殺人ではなく、偶然が重なった本当の事故だったということもわかります。

 

深瀬は内部の事情を知るものが告発文をゼミ仲間全員に送りつけたとしか考え、同級生や両親など片っ端から探りを入れます。そこまでが物語の第一章なのです。そして最後の数ページで物語の第二章が開幕され、そして終焉に向かうのです。

 

張り巡らされる伏線

『リバース』には様々な伏線が張り巡らされています。あらすじを読むだけでも、怪しすぎるニオイがぷんぷんしてきます。サラリーマン、コーヒー、人殺し、告発文、彼女、ゼミ仲間。全てのことに疑いを持ってかかっても、最後のどんでん返しにはまったく気付かないでしょう。それだけラストの一行には度肝を抜かれました。

 

前半部分は亡くなった広沢がどんな人物だったのかを探る旅が描かれています。広沢がどんな性格の持ち主で、どれだけ周りの人間に愛されていたのかが、事細かに描写されており、死んだ広沢の存在が立体的になっていきます。

深瀬は広沢が死んだことでゼミ仲間が恨みを持たれているのではないかと思い、当時の同級生を片っ端から当たったいきます。調べれば調べるほど、広沢の人柄の良さがわかっていくだけなのでした。

 

「だけど、本当は何にもわかっていなかった。自分と一緒にいたときの広沢のことだけ。いや、それすらも、広沢がどんな気持ちでいたか考えようともしなかったことに気が付いた。人殺しだっていう告発文が届くまで。俺にだけじゃない。ゼミ仲間全員に届いたと知るまで、俺は広沢のことを知らないという事実に気付いていなかった」

 

衝撃の結末へ

しかし主人公が確かめるべきは、告発文を誰が送ったのか、そんなことではなかったのです。

物語にテーマを設けるならば、「世の中には知らなくてもいこともある」という教訓でしょう。告発文を巡って、深瀬は広沢がどんな人物だったのかを深く知ることができました。彼が好きだったもの、そして嫌いだったものも。あるいは意図して避けてきたものが何だったのかまで知ることになります。

あとがきから引用させてもらいますが、物語は告発文を出した犯人探しでは終わらないのです。

物語の最後の数行にて、衝撃の結末が用意されているのです。

だが、物語は犯人探しが決着してお仕舞いではない。探偵であり犯人でもあった深瀬和久の物語は、むしろこれからが本番だ。深瀬は容易ならざる秘密を新たに抱えてしまった。ひとつ前の秘密はゼミ仲間四人で共有していたのに、いまや一人きりでその重みに耐えなくてはいけない。それに、因果は逆転(リバース)し、深瀬に広沢を亡き者にする動機まで生じている。そう、美穂子を奪うため恋敵を殺したという立派な動機がーー。

 

まとめ

湊かなえ先生の作品はよくイヤミスと言われることで有名らしいです。イヤミスとは読んだあとイヤーな気持ちになるミステリーのことだそう。なるほど確かにこの主人公の報われない感じはイヤミスだと思いました。

告白も映画で見たことがありますが、ラストはかなり衝撃的でした。それが妙にクセになるというか。

湊かなえ先生の作品にハマりそうな予感がしています。

 

それではまた!